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委員会

第11回 関西のインフラ強化を進める会 開催日:令和2.12.14(月) 開催場所:キャッスルホテル

議事
1. 基調説明
「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のインフラ整備」
梶浦 敏範 氏(株式会社 日立製作所 上席研究員)
2. 基調説明
「地域公共交通の現状と今後のあり方」
小嶋 光信 氏(両備グループ 代表兼CEO)
3. 「緊急提言!2050年の新しい日本 ~ミラーリングKANSAI~」
建設コンサルタンツ協会 近畿支部 道路研究委員会

1. 基調説明
「デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のインフラ整備」講演資料(8.37MB)

梶浦 敏範 氏(株式会社 日立製作所 上席研究員/
一般社団法人 日本経済団体連合会 デジタル経済推進委員会 企画部会長代行/
国土交通省 インフラメンテナンス戦略小委員会委員)

はじめに

ただいまご紹介いただきました日立製作所の梶浦でございます。時間の厳しい会議だということは今のお話でよくわかりましたので、私の説明は手短にさせていただき、なるべくたくさんご質問をお受けしたいと思います。
本日のテーマといたしまして、デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のインフラ整備についてご紹介をしたいと思います。

1.DATA Driven Economyの進展

本日のアウトラインでございます。

コロナ禍で、社会全体がデジタルトランスフォーメーションしようという話は伝わっております。ただ、その進め方につきましてはいろいろ誤解もあると私は思っておりますので、本日はそういうお話をしたいと思います。特に今日は社会インフラを担っておられる皆様ですから、我々のようなデジタル屋がインフラ分野のDXをどう考えているのかということも含めて、議論をさせていただければと思います。併せて、委員を務めさせていただいております国交省さんのインフラメンテナンス小委員会で私が申し上げていることもご紹介できればと思います。

本日の4つのコンテンツでございます。

最初に、エコノミーはもう「DATA Driven Economy」の時代に入ったということ。次に、その時代のインフラ、次世代インフラはどうあるべきか、そして、社会インフラに携わっておられる皆様にお願いしたいこと、最後に少しお時間をいただきまして、日立グループにできることをご紹介したいと思っております。

まず、「DATA Driven Economy」という言葉の意味をご紹介したいと思います。

昨年のB20でSociety5.0 for SDGs というものを日本がリードしていくという話が前面に出ました。次の社会、Society5.0 とSDGsの達成は密接に関係しております。これを進めていきたいということが世界的な希望でして、そこに日本の産業界が重要な役割を果たしたいというように思っているわけです。今回のコロナの騒ぎがあり、急にデジタルトランスフォーメーションをしっかりやろうという話になりました。デジタル庁ができるということに我々は期待をしています。

ただ、こうしたことは昔からたくさんやってきました。私自身は失敗の歴史のようなものを背負っています。なぜダメかというと、「ITを使ってください」ではダメなのです。「ITを使って儲けてください」でもまだダメです。では何だというと、やはりお客様企業にとってITは道具ですから、「ITでどう変革するか」という話です。

変革のためには何が必要かというと、今ある施策をやるかやらないかという議論が起こった時に必要なのはデータです。GoToでどれくらい感染が広がったかなど、答えのない話ですが、例えばデータを活用してしっかりと判断をするということ、これこそがDXだと思っております。それをデジタルでやるということです。

このようなことは昔からやっていて、例えば、電力会社がスマートメーターで各戸の電力使用量をとってくることができるようになった20年程前、ある百貨店さんが来られ、そのデータを見せてくれないかと言われました。なぜかというと、電力使用量の多いエリアは富裕層が多いからです。そのエリアには松のチラシを、少ないエリアには梅のチラシを配りたい、このような合理化をとおっしゃいました。

あるいは、大きな商業ビルを建てる時に、テレビカメラでどのような人が通っているか見えるかと言われました。20年も前ですので、今でしたらプライバシーの問題がいろいろとありますが、「技術的には可能です」とお答えしました。「どういうふうにお使いになるのですか?」と聞いたところ、ビルの運営会社の方は、例えば20代の女性が何人通ったかということによって、そこの店のテナント料を決めるというようにおっしゃっていました。

また、皆様の分野では、かつては直轄国道を毎日巡回していました。どのようにコストを減らすのかという議論になった時、例えばタクシーのドライブレコーダーや郵便局の車のカメラモニター等を活用し、6日間はそれらのデータを見て、穴ぼこがあるというような状況を検知すればよい。一週間に1回だけプロフェッショナルが巡回されればよいということを申し上げました。 このように、デジタルのデータをどう使うか、真のDXとはデータの新しい使い方を考えることだというのが私の主張でございます。

製造業の立場で申し上げますと、もう20年以上前からやっていることですが、製品を売るということは当たり前の話で、これにサービスを付属させることによって構造転換を図りたいと思っております。

例えば、日立グループの建設機械は世界中で動いています。その稼働データ、振動が多くなったとか、あるいは複数台の中である一台に負荷が偏っているとか、場合によっては全然違うところを走っているとか、よく盗まれることがあるものですから、そういうようなデータも含めて全てを日本に持ち帰って分析し、現地の皆様に運用はこうしましょう、保守部品はあらかじめお届けします、ひょっとして盗まれていませんか?というようなサービスができるわけです。これを建設機械だけではなく、ガスタービンやATM、エレベーターなどでも日立グループとしてはリモート監視をデジタルで行っており、サービスを付属させるようにしているわけです。

運輸・交通分野について申し上げますと、ここに挙げておりますのはいずれも4、5年前に国交省さんの実証実験に私自身が関与させていただいた件でございます。

1つは自動車のデータです。これは大量にいろいろなものがあります。自動車そのものはすでに200個ほどのコンピュータを積んでいまして、はき出すデータは膨大なものです。それを上手く活用できないかということです。

いろいろ議論しました。例えば、面白いことを言われたのが中古車販売業者さんです。ハイブリッドカーの査定をするときに一番困っているのは電池の能力だと。電池の充電、放電が良いパターンと悪いパターンがありまして、どのような充放電パターンをやってきたのかという履歴がわかれば性能が推測でき、中古ハイブリッドカーの中古車価格を安定的に決定できるのだと言われました。しかし、この時点では中古車事業者さんにそのデータは伝わっていませんでした。車が走っているデータは、保険会社さんにとっても、自治体や整備会社、販売会社にとっても非常に有効なわけです。

もう1つ、下の例はバスの運営会社さんのお話です。今は、車内に何人乗っているかというのは例えばテレビカメラで見ることができます。あるいはどこで降りてどこで乗ったのか、いわゆるOD情報はICカード等を使えばかなり正確にとれます。ですからバス会社の社長さんに言わせると、「車内の情報はわかっているので車外の情報が欲しい」ということです。そこで考えたのがこちらです。

路線を走っているバスの隣を同じ時刻、同じ方向に何人の人間が走ったか、それは自転車か、タクシーか、それがわかれば、今、同じ5人乗って走っているバスが2路線あったとしても、その隣を潜在需要が5人走っているだけか、20人走っているところがあるのか、そのデータによって、20人の方の本数を増やしたり、料金を下げたりできますし、バスダイヤを改正することができるわけです。あるいは路線バス停の位置も見直すことができるかもしれません。

それをどうやって実施するかというと、実験的に活用したのはドコモさんのモバイル空間統計です。もちろん抜き取りですので全員ではありませんが、合意した特定の人たちが位置情報を出してくれますので、統計値としてはデータがとれるわけです。北陸のあるバス会社さんでは実際にそのドコモさんの統計データをバス路線の改変のためのデータとしてお使いになりました。

こういうことが真のDXだと思っております。

もっと進めて、いわゆるMaaS(Mobility as a Service)のビジネスですと、交通インフラと利用者は、昔は直結していましたがこの間にいろいろなインターネット系のサービスが入ってきます。ルートの考案や、地図の情報、あるいは料金を支払うアカウンティングのアプリケーションなど、こういうような人たちがたくさん参入し、三層構造になり、実際のインフラと利用者の間をインターネットビジネスが繋ぐということになります。ここで重要なのがこの黄色い部分、データです。このデ-タが正しく流れて初めてMaaSというビジネスが成立し、インフラ事業者にとっても、利用者にとってもメリットが出てくるわけです。

このデータの活用に関しては4つの壁がございます。

1つは、データにアクセスできなくてはいけない。例えば、電力会社さんがスマートメーターのデータを百貨店に渡すかどうか、これは今の状況ではダメだと思いますが、アクセスできなくてはどうしようもありません。

次に、データが使える状況になっていなければいけない。例えば、データのフォーマットがバラバラ、ID体系がバラバラという状況があります。電子カルテのケースで言いますと、東大学派と慶応学派では病気のID体系が異なります。これでは一斉にデータとして集めようと思った時に毎回変換をかけなくてはいけません。非常に困った事態です。これも1つの壁です。

3つ目は、これが一番重要ですが、ビジネスモデルとして成り立つかということです。バードディスクにデータを貯めておくわけですから、そのコストとデータを活用したDXのベネフィットのバランスが取れていなければならない、もしくはベネフィットの方が上をいかなくてはいけません。

例えばGoogleさんは膨大なデータを持っていますが、彼らによると、それでお金にできている部分は2~3%、多くても5%だそうです。データをどうやってお金にするか、ビジネスモデルの研究が一番難しいということです。

ただ、そこまで頑張ってやっても炎上したら終わりなのですね。社会的に容認が得られない、社会的な理解が得られないと、「なんで人のデータを勝手に使ってそんなことをしているのだ」というような話になってしまいます。

我々のデジタル業界、あるいは産業界はこうしたケースについて一つ一つ議論しています。これがこの20年、30年で私がやってきたことです。

2.次世代のインフラに求めるもの

次に、インフラのお話に入りたいと思います。

次世代のインフラということで、今年、スーパーシティ法もできあがりましたが、とにかく、「情報×制御」の技術というのが下支えとなり、ICカードの利用や健診データの共有などで、人、設備、センサー、スマートメーターが全部繋がって、電力、水、MaaSのようなモビリティ、都市のアセットマネジメントというようなものもできるようになっていく、このような青写真が書けるわけです。

個々に見てみると、現実には複数のインフラ機関が道路の地下の情報を共有する必要があると思いますが、皆様ご存知のように、地下にはいろいろなものが埋設されており、それらのデータが必ずしも100%デジタル化されていなければ、共有もされていない状況だと思っています。あるいは、アナログの図面でアップデートされないまま保管されており、掘ってみたら隣の水道管を傷つけてしまったというような話があると聞いております。

そこで、1つの構想として道路管理センターというものを創るという話が以前から出ており、トライアルはあります。自治体さん、通信会社さん、電力会社さん、ガス会社さんの各々から最新のデータをもらい、ここで共有しようという構想です。

例えば、千葉市ではこの取組みがかなり進んでおり、東日本大震災の時に復旧が早く進んだのはそのデータがあったからだと熊谷市長から聞いたことがございます。このように、データの共有によって各々の人たちがそれぞれすべきことを間違いなくできるということは非常に大きなことだと思っています。

これをもう少し広げますと、衛星画像、地質・地盤のデータ、もちろん建設物の三次元のCADの図面、測量、保守履歴というようなものを公物管理のデータベースとして維持することがアイデアとしては出てきます。ただ、現実的には難しいということを皆様もすでにご経験されているかと思います。

例えば日立グループでいろいろなシミュレーションをいたしました。

駅を1つとりましても、入ってくる人、出ていく人、列車に乗る人、列車から降りる人、やってくる列車、乗車人数などがあり、これをデータとして共有し、リアルタイムで見ていく、あるいはそのデータを活用し、もしダイヤを改変したらどうなるか。今、10分に1本走らせているところを、車両編成を短くしてでも8分に1本にする、5分に1本にするとどうなるか、そのようなことはデジタルのシステムができ上がっていればその中で簡単にシミュレーションができます。

そのようなシミュレーションは、列車に乗る人についても、また、先ほどドコモのモバイル空間統計の例を申し上げましたが、人についてもある程度は可能です。もちろんプライバシーへの配慮が必要ですが、その合意を得れば匿名化して使うことはできると思っております。

利便性の話だけをしていますが、当然、国土強靭化のお話はありまして、都市型災害をどのように防ぐかが課題となります。最近は津波がくるというような警告をスマートフォンから流してくれるシステムがありますが、そういう大きな話だけではなく、リアルタイムの地理空間情報データベースがあれば、洪水のシミュレーションや浸水、避難というようなものがリアルタイムで視覚化してご紹介できるようになると思っております。

今は既存のインフラを含めた維持補修が大きな問題になっています。

例えば、私も委員をさせていただいているインフラメンテナンス戦略小委員会では、笹子事故10周年にあたる2022年に向けた戦略策定をしておられます。新技術導入促進のためのニーズ、シーズのマッチング、民間活力促進のための契約条項の検討など、国交省さんではプラクティカルな話をこのように進めておられます。そこで私がデジタル屋として申し上げているのは、役に立つデジタルデータとは何ですか、ということです。例えば、橋梁が1つある、トンネルが1つある、そこを今後何十年かけてメンテナンスしていくために本当に必要なデジタルデータは何ですか。それを議論して決めましょうということです。先ほどのGoogleの話ではないですが、のべつ幕無しに集めれば良いというものではありません。管理にもコストがかかります。だから役に立つデータを絞り込むということです。

加えて、デジタルゆえの特性というものがあります。デジタルデータは廃棄がものすごく難しいです。最近のシステムは自動的にコピーを取ってしまいますので、それを本当に廃棄しようと思うと結構な労力がかかります。そこはご理解いただきたいと思います。

また、先ほど申し上げましたが、いろいろな機関で同じようなデータをお持ちですが、それを共有できない。共有しようと思うと、単位系が違う、リフレッシュのタイミングが違ってずれてしまう、ID体系が違ってそもそもムリ、というような話がたくさんあります。

先ほど申し上げたような絞り込んだ本当に役立つデジタルデータであれば、企業横断、業界横断で標準化を図る必要があると思います。もちろん、ミリ単位の数値が必要な業界とセンチメートル単位でよい業界があるのはわかります。ですが、それがバラバラで存在していると、共同で地下の管理をしていこうという時に非常に大きな障害になります。

最後にそれらを束ねて、収集から利用、再利用、そして廃棄まで、全て含めたエコサイクルを考えないといけませんが、個々のデータについて考えるのは大変です。だからこそ、本当に役立つデジタルデータは何かを絞り込みませんかということです。それはデジタル屋ではわかりません。実際に設計から運用までを担っておられる皆様であれば、本当に必要なデータはこれだというものをお持ちのはずです。そこの絞り込みが重要であると思っています。

先ほど冒頭で5Gの話も出できましたが、新しい技術の流れがございます。 左が「Embedded Technology&IoT」です。例えば、橋梁にセンサーを張る、あるいはアクティブに動いている自動車からデータを持ってきたり、自動車のブレーキにIoTセンサーをつけたり、道路の防犯カメラを活用してデータを取るというのはあります。

それが、次世代通信5Gを通って、最後に何に使われるかというと、EXITの一番わかりやすいのはロボット(AI)だと思います。

ただ、これらが全てリスクをはらんでいます。右から逆に言いますと、AIについては、欧州ではAI倫理やアカウンタビリティなど、非常に厳しいことを言って、AIはこういう分野には使ってはいけませんというような規制をしようとしています。極端なところでは、AIヒトラーが出てきたら困るというのが彼らの感覚で、多少不便になっても構わないからAIの暴走だけは何としても防ぎたいという思いがあります。裏には、AIを導入することによって生じる雇用不安があります。例えばゴールドマンサックスではAIを導入してトレーダーが600人から2人になったそうです。そういう例もありますので、雇用不安によって反対している人がいることは事実ですし、AIに対する厳しい目があることは確かです。

真ん中の5Gは、米中対立でファーウェイのルーターを使うなというような話が飛び込んできます。5Gでは中国企業が一歩先んじていることもあり、そこで本当にセキュリティが保たれるのかということを米国は非常に心配しています。

それ以外にも、大容量で高速、あるいは一度に非常に多くの端末をつなぐことができるという能力が逆にマイナスに働く可能性があるということが危惧されています。

最後は左側のIoT系の話です。そのセンサーが出した情報が本当に正しいのかということについて、または壊れたときに急にデータがなくなることによってAIが暴走しないか、耐久性はあるのか、レジリエンシーはあるのか、こうしたことを皆様が危惧される。これら全部を通して社会基盤としてのトラストを実現していくというのが我々、産業界の新しい流れの理解だと思っております。

3.社会インフラに携わる皆様へのお願い

そこで、社会インフラに携わっておられる皆様へのお願いでございます。

I-ConstructionとBIM/CIMのお話はよくご存じと思います。場合によっては自動建設までいくかもしれません。ただ、それを支えるには関係する企業は非常に幅広いです。この企業さんの中で、①標準的な共有データにアクセスできる、②フォーマットが標準化されている、③ビジネスを支える重要なデータが絞り込まれている、④社会的な容認がある、この4つの条件を満たした標準的な情報共有、活用が求められるわけです。

現実として、新技術の導入に関してはITに限らず非常にハードルが高いです。新技術導入促進WGで聞いた話では、例えば地下の状況を超音波で測る新しい技術がいろいろあるわけですが、そのような技術を個別ニーズとマッチングしてどうだったのかという議論をしていただき、実装までいったのは5%くらいだそうです。結果、上手くいったのは何かというと、技術に有効性が認められたということです。逆に上手くいかなかったケースは何かというと3つの要因があります。1つは職場の合意形成ができなかった、調整できなかったということです。これは場合によっては雇用の問題もあったかもしれませんし、そんなものを自分は使いたくないというような話もあったかもしれません。2つ目は技術側の問題で、「計測精度等の調整不足」とありますが、要するに性能、精度が足りなかったということです。最後は予算の不足です。この3つがほぼ同じくらいの確率であって、新技術導入ができなかったと言われました。

我々としては、建設業の皆様だけではないのですが、いろいろなデジタライゼーションを議論する時にはやはりニーズを追求しなければなりません。小手先のデジタル化があっても無視する。例えばハンコ議連の皆様が実印登録をオンライン化しますとおっしゃったのですが、我々はハンコそのものをなくす議論をしているのです。小手先のデジタル化でごまかさないでくださいと。このようなえせデジタル化という罠にかからないでいただきたいと思います。

我々としてはニーズ実現に向かうのなら小さなことにも取り組みたいですし、成功も失敗も、どうしてそうなったかということを最大限共有したいと思っています。

最後に1点、サイバーセキュリティのお話をしたいと思います。5Gのところでも、世の中のデジタライゼーションが進む、トラストなデータが流れてそれが役に立つというように申し上げました。逆にデータがトラストできなかったらどうするか。国家レベルの勢力の攻撃というものがいろいろなところで起きています。中小企業も狙われています。産業界としては東京オリンピック、パラリンピックまで頑張れと言われておりますが、それは単に通過点です。また、こちらでは万博もあります。日々のサイバー攻撃に対する耐久力をつけていかないと、せっかくのスマートシティが犯罪者によって止められてしまいます。場合によっては人の命にかかわるというようなこともあると思っています。

そういう意味での新しいリスクとしてのサイバー攻撃ですが、対策協会については議論の場や組織が立ち上がっています。

ポイントは、サイバーセキュリティというのは技術課題だと思っておられる方がまだ多いですが、これは経営課題です。社会インフラ企業がサイバー攻撃によってそのインフラを止めるとなると、それは経営課題です。地震などと同じように考えていただきたいと思います。リスクの可視化や対策の成熟度についての情報開示が必要だと思います。また、サプライチェーン全体を守ることも必要です。納入された部品にウイルスが混じっていて自動車が暴走した、そのようなことになっては困ります。ただ、裾野の広い産業において、中小企業さんでそれを全てやるといってもなかなか難しい。そこでいろいろな団体が出てきています。経団連ではサイバーセキュリティ委員会を設け、私も参加しております。経産省では産業サイバーセキュリティ研究会を作りました。IPAは情報セキュリティハンドブックという非常にわかりやすい経営者向けのハンドブックを出しています。そして、先月立ち上がりました、民間のサプライチェーン・サイバーセキュリティ・コンソーシアムについては神戸大学の森井先生をワーキング・グループのヘッドにした中小企業対策ワーキングというものを立ち上げ、中小企業を含めたリスク対策をしようとしています。

4.日立グループにできること

最後に、日立グループの宣伝をさせていただきたいと思います。

今まで申し上げてきたのは全て情報活用によるサービス革新、ビジネス革新です。そのために日立グループはいろいろなテクノロジーを持っていて、蓄積があります。その蓄積したデータを情報に格上げし、さらにインテリジェンスに高めることによって、企業の皆様のDXをお手伝いできる体制を整えております。

例えば社会インフラ保守プラットフォームというようなもので、インフラモニタリングデータというものもセットしておりますし、ここに書かれているような様々な解決策を用意しております。

関西のインフラ強化を保守・維持・管理の面からご支援申し上げるということで、本日は机上にいくつかのパンフレットを置かせていただきました。

私の方からのご紹介は以上でございます。ご静聴ありがとうございました。

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