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委員会

第2回 関西のインフラ強化を進める会 開催日:H29.07.31(月) 開催場所:大阪キャッスルホテル

議事
1. 基調説明
「日本創生プロジェクト」
藤本 貴也 氏(JAPIC 国土・未来プロジェクト研究会委員長)
「夢ロード2050」
兼塚 卓也 氏(建設コンサルタント協会 近畿支部長)
2. 意見交換「関西のゲートウェイ機能の強化、ネットワーク整備」

2. 意見交換「関西のゲートウェイ機能の強化、ネットワーク整備」PDF(198KB)

1. リニア、北陸新幹線と新大阪駅との結節点整備

北陸新幹線は、今のスケジュールでいくと2046年。それからリニアも今のスケジュールでいくと2037年。なにわ筋線は2030年度に新大阪までつなげると計画しているが、北陸新幹線のアセスメントをやっていくに当たっては、新大阪のどこに駅をつくって、ここで新幹線とリニアとか、あるいはなにわ筋線の阪急の駅をつくるのかということを、まさに今議論するタイミングに来ている。駅位置の話は北陸新幹線がきっかけになって、この一、二年の間に北陸新幹線の駅を決めないとダメなレベルになっている。JR東海がまだまだ先だからと言っているが、早くJR西日本とJR東海、あるいは地元関係者が集まって、このメガリージョンの関西の拠点である新大阪の駅位置を早く決めてしまう。その次に周辺を含めたまちづくりを考えていくと、こういうことを早く決めなければならない。そういう提案をぜひこの会でやっていく必要がある。

2. ソフトウェアの役割としての欠節点

新幹線ターミナルの話が出たが、実はターミナルというのは物理的な結節点であると同時に、ソフトウエア、運賃制度での結節点という点でもとても重要で、例えば東京では、京葉線の東京駅というのは乗り換えの距離がすごく長いが、しかし、実際にあそこをまたがって切符を買うと、あの駅が別の私鉄の駅でなくてなぜ東京駅かという理由が非常によくわかる。ターミナルは、ソフトウエアの面での結節点でもあるというあたりもぜひ重要視していただきたいと思う。

3. 三空港の連携強化

神戸空港のポートライナーを新神戸につなぐというのは、神戸地区にとっては非常にいい話だが、空港とか新幹線の駅というインフラはほかのエリアの人たちが使うものなのに、新神戸にポートライナーをつなぐのがいいのかどうか。  空港が3つあって、3つをうまく使う話になったときに、真ん中の背骨のところで実はちゃんとつながっていないし、便利になっていないところも多い。実際になにわ筋線ができると、空港連絡だけではなくて南大阪と北摂エリアがつながるというメリットがある。関西はそれぞれの交通機関の接続が悪くぶちぶちと切れているところがあるので、そちらの議論につなげる意味でもポートライナーの延伸の話は、神戸としてのアクセスはよくなるけどほかは良くならない。関西の活性化を議論しているのに、大阪中心、京都中心、神戸中心の議論になってしまうとまずいと思う。

4. ルックウエスト

ルックウエストですが、西を見るのが大事。東京とか中部ではなくて、どちらかといえば関西は九州とか四国、中国、北陸というところにもっとアピールしないといけない。関西の中でそういう方向に向いて行うプロジェクトをきちっと整理することが必要。

5. 関西と他圏域との連携強化

関西の広域の全体の課題を国や地方や都道府県や市町村や民間や経済界、一緒になって課題解決するような仕組みをつくっていこうというふうに、ここ数年、いろんなことを模索している。その中の1つがインフラについてどう整備するかということ。中国とか四国とか九州とか中部とか北陸とか、関西と他圏域とをどう結んでいく、連携していく、その軸をつくるかという発想が関西広域で仕事をしていく上でとても大事だと思われる。

6. 空港、港湾と道路ネットワーク

舞鶴港の話ですが、やっぱり高速でつながったがゆえにクルーズ船もたくさん来ているし、また、コンテナも伸びているという状況である。そういう意味で、南北の軸の強化とうたっていただいているが、そういった取り組みが今後とも必要である。  あと、空港関係も三空港一体で多分利用できるような形になるが、やっぱり空港から来ていただくお客さんをどういうふうにほかの地域に運んでいくのか、そういったネットワークづくりというのは非常に重要だと思っている。

7. 京都高速の必要性

今、京都市が歩くまち京都というのを進めていて、都市高速の都市計画決定までした西大路通・堀川通の計画を取り下げようとしている。しかし、やっぱり高速とか道路を考えるときに、どうしても一般の市民は旅客、人の動きしか考えず、ほとんど物流のことは考えていない。人口が2,30万ぐらいの都市ならば、パークアンドライドとか流入規制でいいが、150万人もある京都市を考えるときには、そこに住む人たちが毎日、宅配便で物を買ったりする。そうすると、流入規制し、あとは公共交通でというわけにはいかない。そして産業の足腰でもある道路を考えるときには、堀川通の都市高速は少なくとも必要だと思う。

8. 広域的な都市開発の必要性

各種プロジェクトを、まちづくり、地域開発というのにどう絡めるかということをもう少し考える必要がある。全部点の話になっている。今の新大阪の話にしても、新大阪、大阪はよそから見て一緒であるが、淀川があり、物理的にもちょっと距離はあるが、一体的に開発していく必要がある。南のほうで天王寺、難波も一緒である。

なにわ筋線もやっと話が進んできたが、それによって南部の地域をどう開発、変えていくのかという観点も重要である。

9. 関西の独自色を発信

首都圏と対比して、首都圏が政治の都なら、関西は経済の都。中国と経済的な面ではつながりが深いし、関西としてはどんどんお客さんに来ていただきたいと思う。そういう考え方を持っているのは、例えば北京に対して上海の皆さんが絶対そう思っているし、また、パリに対してリヨンとかマルセイユの皆さんの発想は全く違う。まさに俺たちは違うんだという意識を持って動いて、1つの軸をつくっている。そういった意味では、例えば関西、上海、リヨン、マルセイユで横のつながりを持ちながら積極的な発信をしていくのも考えられるのではないか。

10. 高速道路の地域開発への活用

阪神高速もかなり時間はかかりましたが、ようやくミッシングリンクの整備に着手することができるようになった。

でき上がったものを、地域開発とか地域の活性化にどう使っていくのかという視点も非常に大切である。構想がようやく実りつつあるときに、これができたらこんなふうに世の中の役に立って使っていけるんだということをまたしっかり考えていく、そして皆さんにわかってもらうことが大事だと思っている。阪神高速の大和川線ができたらどんなふうに地域の役に立てていただけるのか、それをしっかり考えていきたいと思っている。

11. ネットワークのターゲットの明確化

このネットワークを誰が使うのか。例えば海外から観光に来た人から見てどのネットワークや拠点開発が魅力なのかとか、あるいはビジネスをやろうという人にとってどういう組み合わせがいいのかと。住んでいる人間にとってどうかと。誰がそれを使うのですかという視点で整理をしていくと、どの拠点とどのネットワークが、どういう意味を持っているかというのが見えてくるような気がして、それを整理すると、例えば、海外の人間を日本に呼び寄せるために関西がこんなことをやるんですというのをテーマにするのであれば、この拠点とこのネットワークをまずファーストプライオリティーで考えるべきではないんでしょうかという提案に持っていけるような気がし、わかりやすい議論になるんではないかなと思っている。

12. プロジェクトの時間軸での整理

このたくさんのプロジェクトをそれぞれ見ると、大きな話、それからすぐにも実現できそうな話、あるいは今種をまいて将来的に育てていく話、あるいは地域的なバランスという点から非常に網羅的にいろんな地域を巻き込む意図とか、そういうものが見えると思う。それを整理し、すぐにも着手できるもの、すべきもの、あるいは、とにかく話としてでも残しておいて将来につなごうという整理をやったほうが実現の可能性があるんじゃないかと思う。

13. インフラ投資は将来の財産

インフラについては、今、種をまいて投資しておけば将来必ず生きてくるんじゃないかと思う。身近な例で言うと、あれほど反発されて、何でこんなものをつくるんだと言われた神戸空港が、今にして思えば、首都圏との比較でいうと、これほどのインフラが関西にあるということは将来に対して大きな投資だったと思われる。三空港は関西にとってのとても大きな財産である。

14. 国の力の活用

もっと国の力を上手に使わないと損だ。関西はそれがどうも下手である。一番の典型例は御堂筋。御堂筋を大阪市の管理に移せという話になって大阪市に戻した。むしろ、御堂筋から伊丹空港までを直轄国道にして、そうすると大阪駅の横を通るので、大阪駅前・駅南の再開発に国の金を入れることができた。

東京はどうかというと、全部、国の金が入っている。渋谷もそうだし、新宿もそうだ。品川もそうだ。大阪と神戸と京都で直轄国道はほんとに少しであり、国の金を入れる余地が本当に少ない。

15. プロジェクトの経済効果

インフラ関係のプロジェクトは、新しいプロジェクトを提案しても首長の胸にはなかなか響かないという点がある。なぜかというと、我々がこういうプロジェクトをやったら、どれぐらいの経済効果があります程度のことは効果として言えるが、首長の胸の中を支配しているのは、それよりむしろ、例えば人口減少に対してどう効くのかとか、あるいは、高齢化社会に向けて社会保障費が爆発的に増えていくのに対してどういうふうにしてくれるのかということを言われる。そちらのほうが心の中を支配していて、単に経済効果がこれだけと言っただけでは、首長はあまりそういうことをわざわざ自分のとこでお金を出してまでやろうとは思わない。

インフラ整備に携わっていて、これまでは経済効果何兆円の説明で済んだが、これからむしろ人口減少に対してどう効くかとか、場合によっては高齢化にどう効くかとか、そういうことを説明していかないと、首長ものってこないと思われる。

16. 経済界からプロジェクト発信を

将来の夢をこういう形で短期、中期、長期あるいは構想を全部図面に落とし込んだということで、この絵と皆さんの思いが共有できれば実現に向けて1歩も2歩も前へ進むんじゃないかなと思っている。東京のアクアラインのような大胆な構想である南海経済軸とか、あるいは関空・四国新幹線という、こういう大胆な提案を図面につくっていただいたということで、それに向けての取り組みが1歩も2歩も進むのではないかなと思っているが、このようなプロジェクトは、経済界からその必要性も含めて発信してもらう必要がある。

17. 経済界の参画

経済界に議論に入っていただく必要がある。土木関係者以外の方から積極的に発信していただき、全関西的な発言というか、議論する必要があると思う。

18. サプライサイドとデマンドサイド

サプライサイドの議論をここで中心に検討するというのは非常に大事な話であるが、一方で、デマンドサイドの話もやっぱり分析をしていかないといけない。それは大学の得意なところ。そういう意味では、この研究会とパラレルにもう1つ動かす必要があると考えている。

19. 外国からの視点

外国人がどういうふうに見ているのか。そういう視点が大事。外国人が関西を見て、インフラをどう利用するのか、どう考えるのか。これも極めて大事だと思う。そういう外側の目というのを入れていかないとダメ。成果をどう国内や海外に発信していくかということも、想定しながら進めていく必要がある。

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